お買得物件.com 仲介手数料の役割とは

中古の戸建て物件で、お客様と商談が進み、契約が成立することになりました。しかし、契約の前日になって「仲介手数料を0円にしてほしい。0円にならなければ、今回の契約はやめる」と言われました。

今回の案件の報酬形態は「分かれ(売主か買主のどちらかからのみ報酬を受け取ること)」となっており、弊社は買主様から仲介手数料をいただかないとただ働きになってしまいます。

ですのでその申し出をお受けすることはできかねます。仲介手数料をいただくからこそ物件調査からローンのお手伝い、引き渡し、その後のアフターフォローまで弊社が責任を持って対応させていただいているのです、とお伝えはするものの、ご不満な様子。
住宅情報ポータルサイトを見てみると、「仲介手数料無料」と謳っている不動産会社がたくさんいます。

これは不動産業界では「両手」と呼ばれ、売主様と、買主様、双方から仲介手数料をいただける報酬形態だからこそなせる技なのです。「分かれ」はどちらか一方からしかいただけません。私はただ働きをするつもりはありません。残念ながらその案件は丁寧にお断りすることになりました。

普段リアルタイムでテレビを観ませんが、たまたま視聴していたときのこと。「仲介手数料無料で住宅の購入のお手伝いをします」と売り込むコマーシャルを見ました。ここまで進出してきてるのか驚きました。業界を荒らさないでください。お願いします!という気持ちです。

ご一読くださっている皆さま、よく考えてください。不動産仲介の手数料は物件価格の価格に× 3 .3%+ 66000円を足した金額で、決して安くはありません。ですが、仲介手数料をいただくからこそ、物件調査、購入までのさまざまなご説明、重要事項説明書の作成、売買契約書の作成、煩雑な住宅ローン取り付けのお手伝い、銀行の選定、住宅ローンの契約、そして決済までと仲介会社はお客様に必死になって動きます。ご購入後のアフターフォローもしっかり行います。

仲介手数料を削られると今までの2倍仕事をしないと、会社が回らなくなります。例を挙げると自動車メーカーが利益を半分にした場合、今まで月間10台販売すれば良いお店が20台販売しないとその会社の基盤は揺らいでしまいます。車屋さんでこれまでの倍のお客さんを見つけてくるのも、今の世の中厳しいと思います。
不動産会社も然りです。これだけ物件価格は上昇した昨今、今の2倍のお客様を見つけてくるのは至難の業です。

「仲介手数料0円」の裏にはカラクリがあります。そりゃそうです。やっていけるわけがありません。

「大阪人は特に不当な値引きを要求する人が多い」と地方の方から言われることもありますが、値引きをして販売できる会社は、それなりの利益を確保して販売しているはずです。商品がラスト1つとかになれば別ですが、赤字で仕事をする会社は皆無です。

秩序を持って不動産業界を円滑に保てるような広告宣伝のルールをしばし見直していただけないでしょうか。