
新築マンションの売れ残り物件について、「どうなるのか」「購入すべきか」といった疑問を持つ方は多いでしょう。2025年の不動産市場は価格高騰が続いており、高額な価格設定により購入者の手が届かず、結果として売れ残り物件が発生するケースが見られます。本記事では、売れ残り新築マンションの実情と、購入を検討する際の重要なポイントについて詳しく解説します。
新築マンションの売れ残りが示す市場の動向
売れ残り物件が増える理由とは
新築マンションの売れ残りが発生する主な理由は、価格設定の高さと購入者の購買力とのミスマッチです。東京23区で4月に発売された新築マンションの平均価格は9000万円となり、前の年の同じ月と比べて7%の下落となりました。1億円を割り込むのは1年ぶりとなりましたが、依然として高水準を維持しています。
また、2025年第1四半期の全国の新築供給戸数は15,899戸となり、10期連続のマイナスとなっており、供給量自体が減少している中でも、立地や価格設定によっては売れ残る物件が発生しているのが現状です。
- 価格設定が市場価値を上回っている
- 立地条件が購入者のニーズと合わない
- 間取りや設備が時代のニーズに適していない
- 販売開始時期が不適切(転居シーズンを逃した等)
市場の需給バランスと売れ残りの関係
2025年の市場動向を見ると、新築マンションの供給戸数が減少していることもあり、中古マンション市場は活況が続いている状況です。これは、新築マンションの高価格化により、より手頃な中古マンションに需要がシフトしていることを示しています。
特に、東京23区内の新築分譲マンション平均価格は70平米換算で9000万円となっており、前年の調査から大幅に変動するなど、価格の不安定さも売れ残りの一因となっています。
新築マンションの売れ残り物件の値引きの実態

売れ残り物件の値引き相場はどのくらいか
売れ残り新築マンションの値引き相場について、一般的な商慣習に倣うのであれば、端数切り、本体価格とは別に発生する諸費用分(2~3%程度)の値引き率、消費税相当分として10%(1割)の値引きなどが考えられるとされています。
ただし、新築マンションの値引きはすでに購入している人がいるため、非公式なものであることが前提であり、公然と値引きが行われることはありません。交渉次第で値引きの可能性が高まりますが、値引きされない価格で契約した入居者もいるため、大々的に値引きをうたうことはありません。
値引きパターン | 値引き率の目安 | 具体例(5080万円の場合) |
---|---|---|
端数切り | - | 5000万円など |
諸費用相当分 | 2-3% | 100-150万円程度 |
消費税相当分 | 10% | 500万円程度 |
切りの良い数字まで | - | 4500万円など |
値引き交渉の成功率を上げるポイント
値引き交渉を成功させるためには、以下のポイントが重要です:
- 住宅ローンの事前審査が通っていることは、具体的な購入意欲の表れとして好印象を与え、交渉を有利に進める材料となる
- 平日の方が営業担当者とじっくり話ができ、交渉に適している印象を与える
- 購入への真剣度を示すことが最も重要
売れ残り新築マンションの購入メリット
価格交渉の余地が大きい
売れ残り新築マンションの最大のメリットは価格交渉の余地があることです。売れ残りマンションは、基本的に交渉次第では値引きに応じてくれるケースがあり、通常の新築マンション購入では得られない価格的な優位性があります。
また、売れ残りの期間が長引くほど値引きの可能性は高まるため、時間をかけて交渉することで、より良い条件での購入が可能になります。
実際の住環境を確認できる利点
売れ残り物件の多くは竣工後の物件であることが多く、実際の住環境を確認してから購入を決められるメリットがあります。竣工後または完成済みの物件では、以下のような確認が可能です:
- 日当たりや風通しの実際の状況
- 周辺環境の騒音レベル
- 共用部分の仕上がり具合
- 近隣住民の様子
周囲の住人からの情報収集が可能
すでに入居している住人がいる場合、実際の住み心地や管理状況について情報を得ることができます。これは、青田売りの新築マンションでは得られない貴重な情報源となります。
売れ残りマンション購入時の注意点

管理費や修繕積立金の負担について
- 入居戸数が少ない場合、一戸あたりの管理費負担が重くなる可能性
- 修繕積立金の設定が適切かどうかの確認が必要
- 管理組合の運営状況の把握が重要
資産価値の低下リスクを考慮する
売れ残り物件を購入する際は、なぜその物件が売れ残ったのかを十分に分析する必要があります。不良物件だから売れ残ったわけではない、立地も建物も悪くないが価格が高過ぎたからという物件であれば問題ありませんが、構造的な問題がある場合は注意が必要です。
将来的な資産価値の維持・向上を考慮し、以下の点を確認することが重要です:
- 立地の将来性(再開発計画、交通アクセスの改善予定など)
- 建物の品質と維持管理状況
- 周辺の類似物件との価格比較
- 賃貸需要の見込み
売れ残り新築マンションの探し方
デベロッパーの公式サイトを活用する
売れ残り物件の情報は、デベロッパーの公式サイトで確認できます。ただし、HP等で値下げを知る確率は低いので、狙いをつけて現地(マンションギャラリー)に通い、値下げ販売の可能性を探ることが必要です。
- 定期的な公式サイトのチェック
- メールマガジンやLINE公式アカウントの登録
- 営業担当者との定期的な連絡
- モデルルーム見学時の積極的な情報収集
オープンハウスや内見イベントに参加する
売れ残り物件では、販売促進のためのオープンハウスや特別内見イベントが開催されることがあります。これらのイベントに参加することで、通常よりも詳しい情報を得られる可能性があります。
値引き交渉に適したタイミング
決算期を狙った交渉
3月、9月の決算期は、販売実績を上げたい営業側の意向と重なるため、比較的交渉がしやすい時期とされています。特に、販売会社がその期の営業実績とするには決算月までにマンションを販売しなければならないため、決算期直前の交渉は効果的です。
1月中旬から2月末にかけて、交渉の際は、「今期中の契約を検討している」ことを伝え、販売担当者の目標達成に協力的な姿勢を示すと良いでしょう。
残戸数が少なくなったタイミング
残戸数の少なくなった物件では、値引きする可能性があります。また、以下のタイミングも交渉に適しています:
- 売れ残りを出したくない販売終了前
- 棟内モデルルームで使用された物件が販売される時
- 新築と宣伝できなくなる完成後1年経過する前
2025年の新築マンション市場の見通し
2025年の新築マンション市場は、引き続き価格高騰が続くと予想されています。首都圏の新築マンション平均価格は前年比3.5%減の7,820万円ですが、近畿圏は同14.8%増の5,357万円となっており、地域によって動向が異なりますが、全国的に見ると、2024年の新築マンション平均価格は 6,082万円で、前年比 2.9%増となっています。
このような市場環境下では、売れ残り物件を狙った購入戦略は有効な選択肢の一つと言えるでしょう。ただし、十分な情報収集と慎重な検討が必要です。
まとめ
新築マンションの売れ残り物件は、価格交渉の余地があり、実際の住環境を確認できるなどのメリットがある一方で、なぜ売れ残ったのかの理由分析や、将来的な資産価値への影響を慎重に検討する必要があります。
2025年の不動産市場においても、売れ残り物件は一定数発生すると予想されます。購入を検討する際は、決算期や残戸数の少なくなったタイミングを狙い、事前審査の準備を整えた上で交渉に臨むことが重要です。
最終的には、物件の立地や品質、価格の妥当性を総合的に判断し、長期的な視点で住まいとしての価値を評価することが、成功する購入につながるでしょう。