未入居物件って交渉できるの?

未入居物件とは?
未入居物件とは、建物が完成して販売が始まったにもかかわらず、まだ誰も住んでいない住宅のことを指します。
新築扱いではありますが、完成後一定期間が経過すると、住宅市場では「築浅中古」と同じ扱いになることもあります。
不動産ポータルサイトでは、完成から数か月経過しても売れ残った物件は「値引き交渉の余地がある」と見なされる傾向があり、特にマンションの場合、竣工後に住人が入らず、モデルルームとして使用されていた物件は、販売会社にとって在庫リスクとなるため、交渉に応じやすい状況となります。
仲介市場でも、完成から時間が経っている未入居物件は、購入希望者にとって交渉の余地があることが一般的に知られています。
例えば、完成から半年以上経過した物件では、販売会社が早期契約を望むケースが多く、値引きに応じやすくなる傾向があります。また、販売会社が管理費や広告費などを負担している場合、在庫を抱え続けることはコストの増大につながるため、タイミングや条件次第では交渉が十分可能です。
結論として、未入居物件は新築でありながら、購入時には価格交渉の余地を持つことが多く、購入者はその状況を把握した上で適切に交渉を行うことが重要です。
値引き交渉の背景:なぜ交渉が可能なのか?
在庫になった売主の事情
未入居物件が値引き交渉可能な背景には、売主側の事情が大きく影響しています。販売会社やデベロッパーにとって、完成後も物件が売れ残ることは「在庫リスク」となります。在庫期間が長引くほど、広告費や管理費、固定資産税などのコストがかさむため、販売会社は早期に契約を締結したいと考えます。
イエウールやアットホームなどの市場情報によれば、竣工後数か月経過した未入居物件は、売主側が値引きに応じやすいケースが多く、交渉が成功しやすい状況が生まれることが報告されています。
特に、モデルルームとして使用された物件や完成から半年以上経過した物件は、売主が在庫処分を急ぐ心理を利用した値引き交渉が可能です。
新築から1年経過すると「中古扱い」に
法律上、「新築」として扱われるのは建物竣工から1年以内です。竣工から1年を過ぎた未入居物件は「築浅中古」と見なされ、ラベルが外れるため価格の優位性が低下します。そのため、販売会社は価格設定を見直す場合があり、結果として値引き交渉が可能になることがあります。
市場では、新築ラベルが残っている間は値引き幅は小さく、1年経過後に中古扱いになると交渉の幅が広がる傾向があるため、購入希望者は竣工日や販売開始日を確認して交渉タイミングを見極めることが重要です。さらに、販売会社が決算期を迎える時期や在庫状況を把握しておくと、より有利に値引き交渉を進めることができます。
値引きの相場感を知る

売れ残り物件の目安
未入居物件の値引き交渉を成功させるには、まず市場での相場感を把握することが重要です。完成後2~3か月程度で売れ残っている物件は、価格の5%前後の値引きが目安とされています。
また、半年以上経過した物件では、10%程度の値引きが現実的な範囲として見込まれます。さらに、完成から1年以上経過し、法律上「築浅中古」と扱われる物件では、20%以上の値引きもあり得ると報告されています。
市場の動向や在庫状況を把握することにより、交渉時に現実的な値引き目標を設定でき、無理のない交渉戦略を立てることが可能です。特に供給過剰のエリアでは値引き幅が大きくなる傾向があり、購入希望者は地域ごとの市場状況をチェックしておくことが大切です。
一般的な新築の値下げ幅
一般的な新築物件の値下げ幅についても理解しておくと、未入居物件との比較に役立ちます。完成直後の新築物件は通常5~10%程度の値下げ幅が一般的です。
しかし、1年近く経過すると20~30%程度の大幅な値下げが見込めるケースもあります。この幅の差は、売主側が抱える在庫リスクや、販売会社の決算期、広告・管理費の負担などによって生じます。また、未入居物件は中古物件と比較して、建物や設備の使用状況が良好なため、値引き幅は中古物件よりは小さくなる傾向があるものの、市場相場に基づいた値引き交渉が十分に可能です。購入希望者は、周辺相場や完成日、モデルルーム使用歴などの情報を組み合わせて、自分にとって納得できる価格を見極めることが重要です。
値引き交渉を成功させる「5つのコツ」

1. 周辺相場や類似物件を根拠に要望を組み立てる
値引き交渉を行う際には、周辺の相場や類似物件の販売価格を事前に調べ、根拠として示すことが非常に有効です。購入希望物件が相場より割高である場合、交渉の説得力が高まります。
例えば、近隣で同じ間取り・築年数の物件が1,000万円程度安く販売されている場合、その情報をもとに価格交渉を申し出ると、営業担当も合理的な理由として受け入れやすくなります。価格だけでなく、交通利便性や周辺施設、管理状況などの比較も交渉材料として活用でき、総合的な価値判断を示すことがポイントです。
2. 竣工後の経過期間やモデルルーム使用を交渉材料にする
完成済み・売れ残り・モデルルーム使用など、物件の状況を交渉材料として利用する方法もあります。
モデルルームとして使用されていた未入居物件は、売主が在庫処分を急ぐケースが多く、交渉に応じやすい傾向があります。竣工からの経過期間が長い場合も同様で、販売会社は早期契約を優先するため、値引きの柔軟性が増す可能性があります。このため、購入希望者は物件の竣工日や使用歴を把握し、交渉のタイミングや根拠として提示すると効果的です。
3. 決算前や販売終了間際など、交渉しやすいタイミングを狙う
決算期や販売期末は、営業実績を重視する会社ほど値下げに応じやすくなる時期です。決算月(例:2月末~3月)や販売終了間際に契約をまとめるため、値引き交渉が比較的通りやすいケースが報告されています。
営業担当者は期末に契約件数を増やすことが目標になるため、適切なタイミングで交渉を行うことが、成功確率を高めるポイントとなります。購入者は物件の販売状況や営業スケジュールを把握して、交渉のタイミングを見極めることが重要です。
4. 端数の切り落とし「端数切り」で様子を見る
下二桁などの端数を切り落とした小額の値引きから交渉を始める方法も有効です。
端数切りの提案は売主側にとって心理的負担が少なく、受け入れやすい交渉方法として活用されています。
まずは小さな値引き額で様子を見て、売主の反応を確認しながら追加交渉を進めることで、無理のない範囲で価格を下げることが可能です。
5. 購入意思・資金準備・即決姿勢を明確に伝える
交渉を有利に進めるためには、購入意思や資金準備が整っていることを明確に示すことが重要です。「融資事前審査済み」など、購入準備が整っていることを営業担当に伝えることで、担当者を味方に付けやすくなるとされています。即決姿勢を示すことで、売主側も在庫処分の確実性が高まるため、交渉成功の可能性が高くなります。これにより、単なる希望だけでなく、実際に契約につながる意思を示すことが重要です。
ケース別の攻略ポイント

人気物件・好立地では値引きが難しい
人気エリアや好立地にある未入居物件は、購入希望者が多いため値引き交渉が難しくなるケースがあります。
他に購入希望者が複数いる場合、無理な値下げ交渉は逆効果となり、購入のチャンスを逃すリスクもあります。そのため、人気物件では価格交渉にこだわるよりも、購入意思を早期に示すことや条件面での工夫が重要です。
市場動向を把握し、競合状況を理解することが、交渉成功の鍵となります。
ブランド性の高い販売会社は価格を守る傾向あり
大手デベロッパーやブランド性の高い販売会社は、販売戦略上、価格を維持する傾向があり、販売会社がブランド価値を重視するため、値引き交渉が通りにくくなることがあります。
このような場合は、単純な価格交渉ではなく、販売会社が許容する範囲での代替策を検討することが有効です。ブランド物件においては、販売戦略やマーケティング方針に基づき、値引き幅が制限されることを理解しておく必要があります。
値引きが厳しいときは「オプションや諸費用」で代替的に値下げを得る
値引きが難しい場合、価格以外の条件で交渉する方法も有効です。
例えば、照明・家具家電の提供、初期管理費や修繕積立金の一部免除など、金額に換算できるオプションを交渉材料にすることで、実質的な負担軽減が可能です。
金額以外の条件で交渉を行うことが、売主との合意を得やすい手段として紹介されています。購入希望者は、価格交渉が難しい場合でも、こうした代替策を組み合わせることで、納得できる契約条件を引き出すことができます。
交渉を始める前の準備と心構え
相場調査
交渉を始める前には、まず物件の相場を把握することが重要です。レインズや主要不動産ポータルサイト(アットホーム、スーモなど)で、同エリア・同規模の物件価格帯を確認しましょう。
周辺物件との比較により、購入希望物件の価格が適正かどうかを判断でき、値引き交渉の際に説得力ある根拠として活用できます。また、過去の売却事例や成約価格を参照することで、現実的な交渉幅をイメージしやすくなります。
物件の販売期間や完成日を把握
未入居物件は、完成からの経過期間によって値引き余地が変わり、長期在庫の物件は売主側が在庫処分を急ぐ傾向にあるため、交渉チャンスが高まります。
竣工日や販売開始日を正確に把握し、物件の在庫期間を確認しておくことが重要です。また、モデルルーム使用歴や販売期末に合わせて交渉するなど、タイミングを戦略的に選ぶことも成功率を高めるポイントです。
希望額・上限額の設定
交渉に臨む前に、自分自身の希望額や上限額を明確にしておくことが重要です。
「いくら引いてもらえれば即決するか」を具体的に設定することで、交渉中に迷わず対応できます。
希望額は無理のない範囲で設定し、根拠となる周辺相場や物件状況を組み合わせると、営業担当にとっても受け入れやすい提案となるでしょう。
明確な上限額を設定しておくことで、交渉が長引いた場合でも冷静に判断し、納得できる条件で契約を締結できます。
営業担当者との信頼構築
交渉の成功には、営業担当者との信頼関係も重要です。
誠実で協力的な態度を示すことで、担当者が交渉を受け入れやすくなり、信頼関係を築くことが契約条件を引き出す鍵になります。
購入意志を明確に示し、適切なコミュニケーションを行うことで、価格交渉だけでなくオプションや諸費用の調整など、より柔軟な条件を引き出すことが可能です。冷静かつ礼儀正しい対応は、交渉を円滑に進める上で欠かせません。
まとめ
未入居物件は、新築物件とは異なり売れ残りやモデルルーム使用などの状況によって、価格交渉の余地があるカテゴリーです。
値引き相場は、完成から2~3か月で5%、半年で10%、1年以上経過し中古扱いになる場合は20%以上と、時期によって大きく変動します。
交渉を成功させるためには、周辺相場の確認、竣工タイミングや在庫状況の把握、決算期のタイミングを狙うこと、端数切りで様子を見る、即決姿勢や資金準備を明確に示すという5つのポイントを押さえることが重要です。
人気エリアやブランド物件では交渉難度が高くなる場合がありますが、照明や家具家電、初期管理費などのオプションを利用した代替的な値引きも検討できます。交渉は単なる価格引き下げの手段ではなく、「納得できる住まいを適正価格で手に入れるための手段」として位置づけることが、購入成功への鍵となります。



